wuenoの日記

~308号室から憂いを込めて~

牛は嘘つきな生き物

子供の頃、牛は嘘つきな生き物だと思っていた。

牛と触れ合った経験は大人になった今でもないし、もちろん彼ら彼女らの鳴き声をテレビで聴いても感情は分からない。

しかし、子供の頃の私は牛が嘘つきな生き物だと確信を持っていた。

 

幼い頃に嘘をつくと死んだ後に地獄で舌を引っこ抜かれると知った。

なので、焼肉屋で牛タンをいくら頼んでも無くなることがないのは、牛が嘘つきな生き物だからなんだろうなと思っていた。

 

大人になった今では、さすがにこんなことを思わない。

ただし一つ引っかかることは、死んだ後に地獄で舌を引っこ抜かれるのかだ。

生憎死んだことがないので、生きている私たちには真相が分からない。

しかし、問題はこのことを言い始めた人が確実にいたということだ。

 

私は地獄について詳しくないが、地獄にいる人間が人間に輪廻転生できるものだろうか?

おそらくできないだろう。できたとしても、虫か動物からスタートするだろうし、人間になる頃には地獄の記憶はないだろう。

前世の記憶ですら持っている人は稀でさらに朧気なので、地獄について覚えているわけはないだろう。

そう考えると舌を抜かれる説を言い始めた人はタチが悪い嘘をついたものだ。

生前に確かめることができないうえに、死んだ後に事実は伝えられない。

戒めとしては素晴らしいが嘘としてはタチが悪い。

 

結局は人間が一番嘘つきな生き物である。